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数台並ぶモニターの隙間から小森の声がした。
「仕事なんだから仕方ないじゃない」
その後にはわざとらしいため息が付いてきた。
俺はそれを無視して返事をしなかった。
すると、小森は話題を変えた。
「とにかく、今の案件。早めに終わらせよ。いい案出して、日程も前倒しで、杉浦さんにいいとこ見せるチャンスだもんね」
笑いを含んだ小森の言葉に、今度はお返しだとばかりに俺の方が深いため息を吐いてやった。
「なんで俺のアシストはお前なんだろな」
「適材適所でしょ? 橋爪くんには私くらいがちょうどいいってことよ」
「……何にもちょうどよくないけどな」
「でもさ、私たちも上手くやればあの二人みたいになれるかもよ? パートナーみたいな」
「なりたくないね」
俺は彼女の言葉を打ち消した。
「……はい、はい。杉浦さんじゃなくて悪かったですね」
彼女はそれきり話さなかった。
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