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しかし、完全に劣勢だと思われたその電話でも、
杉浦さんは後に引こうとはしなかった。
すると、途中で会話の空気ががらりと変わった。
「……そう言っていただけて光栄です。もしよかったらもう少し具体的な要望をお聞かせいただきたいのですが……どこかで打合せのお時間をいただけますでしょうか?」
その後、しばらく間が空いて、杉浦さんのはつらつとした声が辺りに響く。
「ありがとうございます! すぐに伺います!」
電話が終わったかと思うと、杉浦さんは席を立っていた。
「橋爪くん、行くよ!」
「え? あ、はいっ!」
俺はわけもわからず、ただ彼女の勢いに引っぱられるように、彼女の背中を追って事務所を出た。
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