番外編【新人デザイナーの憂鬱】

4/33
前へ
/33ページ
次へ
「コイツが悩みねえ……。俺の方がよっぽど深刻に悩んでるんだけど」 眞辺さんがわざとらしくため息をついたが、俺には演技には見えなかった。 「……眞辺にも悩みって、あるの?」 ……ご愁傷様。 俺は眞辺さんに手を合わせたい気分だった。 「そりゃ、眞辺さんにだって悩みはありますよ。こう見えてもね」 隣から突き刺さるような視線が向けられたが気にしなかった。 「そういう杉浦さんは悩み、ないんですか? 杉浦さんにだって悩みくらいあるでしょう?」 俺が言うと彼女は一瞬顔を曇らせたような気がしたが、すぐにいつもの明るい表情に戻って、 「……ないかも」 と、笑った。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1849人が本棚に入れています
本棚に追加