1849人が本棚に入れています
本棚に追加
「杉浦さんて、本当に悩みなんてなさそうですよね」
俺は少しぬるくなったコーヒーをすすった。
「いろいろ充実してそうだし……。何でも完璧ですしね」
俺が言うと、眞辺さんは杉浦さんがいる給湯スペースの方へちらりと目をやった。
「……どうだか。 人は見かけによらねえぜ」
「え?」
ぼそりと言う眞辺さんの言葉が聞き取れず、すぐに聞き返したが眞辺さんは「何でもねえよ」と、席に座るとコーヒーカップを手にしたままもう片方の手でマウスを握った。
眞辺さんがモニターに向かってマウスを握ると、たやすく話しかけることはできない。
なんだかシャットアウトされているような気がするからだ。
実際、集中している眞辺さんに話しかける勇気があるのは……
……杉浦さんだけだから。
最初のコメントを投稿しよう!