番外編【新人デザイナーの憂鬱】

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「ち、違いますよっ」 俺が驚いたのはその発言より、彼女の顔の近さ。 自分でも過剰に反応しすぎたかと思ったが、もう遅い。 おまけに、俺が否定するも彼女は意味ありげに微笑むだけで全く信じていない。 「本当に違いますから。……俺、彼女なんていないですし」 俺は改めてもう一度強く否定した。 すると、杉浦さんは信じてくれたのか、そうでないのか、「そうなんだ」と言ったものの、どこか笑いを堪えているように見えた。 俺がもう一度念を押そうとすると、彼女の方が話を切り上げ、話題を変えた。 「ねえ、この案件、一からやってみない?」 「え?」 「眞辺、今、ちょっと抱えすぎだし、納期的にも余裕あるからこれ、橋爪くんでいってみようか?」 「……いいんですか?」 俺は尋ねながら杉浦さんの手元の資料に目をやった。
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