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……いつの間にか眠っていたらしい。
目が覚めると朝の光が刺していた。
慌てて時計を見つめた後、今日が日曜だということに気づいた。
「頭…痛っ」
この頭痛は酒の飲みすぎというよりは、一晩泣いたせいかもしれない。
階段を下りると、いつもより部屋の空気が静かに感じた。
「お父さん。起きてる?」
父の部屋の扉をあけて些細な違和感に気づいた。
「お父さん?」
父の小さなうめき声を感じ、小夜子は慌てて父のもとへ駆け寄った。
「どっか痛い?」
小夜子の言葉に父は心臓を抑えるような仕草を見せたが、言葉を発することはできない様子だった。
慌てて呼んだ救急車の中で、父はずっと小夜子の手を握り続けた。
「お父さん、大丈夫だから。大丈夫だから」
小夜子のその言葉に父は少しだけ微笑んだ気がした。
それが小夜子が父と過ごした、最後の時間になった。
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