閉店間際の客

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「重いでしょ」 「うん……」 「重いんだよなー」 「えっ?」 「小夜子さんが僕にくれたものってとっても重いんですよ。だから、ちょっと無視できないんですよね」 「悠人くん、どういう……」 戸惑う小夜子を見つめ悠人は深いため息をついた後、続けた。 「こんなに重いもの、僕のところに置いていかないでください。もう来ないなら……持ち帰ってください。じゃないと僕、忘れられないじゃないですか」 「あっ、うん。そっか、ごめんね。ありがとう」 小夜子は腑に落ちたという顔をした後、頭を下げた。 「いや、ごめんなさい!そうじゃなくて……そういうことが言いたいんじゃなくて」 歩き出そうとする小夜子を慌てて悠人は引き留めた。 「えっ?ゴメン、悠人くん。全然わかんない」 「えっと……、結婚してくださいとかずっと傍にいてとか重いことは言いません」 小夜子が抱えた招き猫をひったくるように抱き抱え、悠人は小夜子の目を見つめなおした。 「もう少し、こいつ預からせてもらえませんか。小夜子さんの気持ちがまた重くなったときは、僕が軽くしますから」 「えっ?」 「……来てほしいんです。また。最後は嫌なんです」 「悠人くん……」
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