4人が本棚に入れています
本棚に追加
「重いでしょ」
「うん……」
「重いんだよなー」
「えっ?」
「小夜子さんが僕にくれたものってとっても重いんですよ。だから、ちょっと無視できないんですよね」
「悠人くん、どういう……」
戸惑う小夜子を見つめ悠人は深いため息をついた後、続けた。
「こんなに重いもの、僕のところに置いていかないでください。もう来ないなら……持ち帰ってください。じゃないと僕、忘れられないじゃないですか」
「あっ、うん。そっか、ごめんね。ありがとう」
小夜子は腑に落ちたという顔をした後、頭を下げた。
「いや、ごめんなさい!そうじゃなくて……そういうことが言いたいんじゃなくて」
歩き出そうとする小夜子を慌てて悠人は引き留めた。
「えっ?ゴメン、悠人くん。全然わかんない」
「えっと……、結婚してくださいとかずっと傍にいてとか重いことは言いません」
小夜子が抱えた招き猫をひったくるように抱き抱え、悠人は小夜子の目を見つめなおした。
「もう少し、こいつ預からせてもらえませんか。小夜子さんの気持ちがまた重くなったときは、僕が軽くしますから」
「えっ?」
「……来てほしいんです。また。最後は嫌なんです」
「悠人くん……」
最初のコメントを投稿しよう!