4人が本棚に入れています
本棚に追加
「分かりづらい!」
そう言って、小夜子はクスクスと笑った。
「ごめんなさい。僕、自分でも何が言いたいのか……」
「分かった。また、来るよ」
「えっ?」
「だから、それまでこの子のことよろしく」
そう言って、小夜子はそっと招き猫の頭を撫でた。
「……はい。あの、小夜子さん」
「んっ?」
「いつかこれを小夜子さんに返せる日が来たら、その時は、僕の気持ちとも向き合ってくれると嬉しいです」
少しの間、見つめ合った後、小夜子はこらえきれないというように
「悠人くん、この子より重い」
と大笑いした後、
「ありがとう」
と微笑んだ。
「じゃあ、また」
「うん、また」
笑って手を振り合った後、去っていく小夜子の後ろ姿を見つめながら、悠人はそっと抱えた猫の頭を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!