閉店間際の客

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「分かりづらい!」 そう言って、小夜子はクスクスと笑った。 「ごめんなさい。僕、自分でも何が言いたいのか……」 「分かった。また、来るよ」 「えっ?」 「だから、それまでこの子のことよろしく」 そう言って、小夜子はそっと招き猫の頭を撫でた。 「……はい。あの、小夜子さん」 「んっ?」 「いつかこれを小夜子さんに返せる日が来たら、その時は、僕の気持ちとも向き合ってくれると嬉しいです」 少しの間、見つめ合った後、小夜子はこらえきれないというように 「悠人くん、この子より重い」 と大笑いした後、 「ありがとう」 と微笑んだ。 「じゃあ、また」 「うん、また」 笑って手を振り合った後、去っていく小夜子の後ろ姿を見つめながら、悠人はそっと抱えた猫の頭を撫でた。
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