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「また、いつもと一緒よ」
「あー、またですか」
「男ってさ、何で女のあり方を決めつけるのかな?」
「まぁ……小夜子さんみたいなタイプ、特殊でしょうしね」
「そうかな?皆、勝手に自分のこと決めつけてるだけでしょ。30過ぎたら何となく結婚しなきゃいけない、とか。何となく子どもを産まなくちゃいけないとか。周りがそうだから、そうしなきゃって。そういうの面倒くさいのよ」
小夜子は、決して男に全く相手にされないというわけではなかった。
現に、1年前まで付き合っていた彼とは長いこと同棲をしていたし、その彼と別れた後も、悠人は小夜子の口から何度か男の名前を聞いたことがあった。
しかしそのすべてが、小夜子の結婚に対する価値観によって終わってきた。
「だいたいの女性は30歳超えたら結婚しなきゃって思っているところありますし、男も何となく責任とらなきゃ、みたいなところありますからね」
たんたんと答える悠人に小夜子はかみつくような姿勢を見せた。
「それよ、それ!私は一言も“結婚してほしい”なんて言ってないのよ。ただ傍にいて、お互い居心地の良い関係を続けられたらそれで良いわけ。それなのに何だか勝手に結婚しなきゃ、子供産まなきゃって決めつけられて。結婚が幸せに決まってる、とか。じゃあ、何で僕と一緒にいたんだ、とか。馬鹿じゃないの?そんな短絡的な男、こっちから願い下げだわ」
「新しい彼氏にもそうやっていったんですか?」
「まだ、彼氏じゃないわよ。もちろん最初に結婚願望はないって言ってたわよ。付き合う前にちゃんと伝える。私なりの誠意は見せたつもりよ。それなのに、結婚したらどうしたいこうしたいとかしつこく言うもんだから『私、結婚する気はないから』って言ったら、時間を無駄にしたって大激怒。意味分からない」
そう言った後、思いっきり餃子を頬張った小夜子は、改めて腹立たしそうに唇をかみしめた。
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