貴婦人のイタズラ

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何度もそうして生まれ変わって いつかこの 染みついた心と身体の汚れも 消えてなくなればいいのに。 禊をするようにして 洗い流してしまえればいいのに。 私は何度死んで 何度生まれ変わっても いつだって目の前のこの人だけは 変わらず愛していける。 愛さずにはいられない。 愛するために私はここにあるのだから。 「温人さん……っ」 汗のにじむ首にしがみつく。 全身で、しがみつく。 二度と離さないでと 二度と離すつもりのない心で叫ぶ。 「私、まだ、怒ってるんだから……っ」 「うん。わかってる。 ごめん、奈々緒。許して」 私を揺さぶりながら 甘い声で懇願する温人さん。
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