437人が本棚に入れています
本棚に追加
温人さんも神妙な声で
「それは難しいな……」なんて言っている。
わかってる、そんなことは。
こんなに魅力的な人を
誰の目にも触れさせないなんて
どこかに監禁でもしない限り
無理な話だ。
できるならしてしまいたいけれど。
小さな部屋に
彼を鎖で繋いで閉じ込めて
私だけが彼を見て、触れて
彼の目に私だけが映るようにできるなら
そんなに幸せなことはない。
とても正気じゃないことを
考えてしまったけれど
それを素直に白状すると、
「それはこっちのセリフだよ」
と、それは晴れやかな笑顔で返された。
温人さんはずっと、
結婚するよりも前から
それこそ出逢った当初から
私に対してそんな
仄暗い想いを抱えていたという。
最初のコメントを投稿しよう!