貴婦人のイタズラ

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全身で 私のすべてで 大切な人を 大切に包み込むように 心をこめて抱きしめる。 「温人さんに似た 男の子でお願いします」 私が答えると 倍の力で抱きしめられた。 より深くなった繋がりに 押し出されるようにして 声が漏れる。 「それは……神のみぞ知る、ってやつだ」 私の胸に顔をうずめ そう笑った声は 少し濡れているように聞こえた。 「でも俺は、女の子がいいなぁ。 奈々緒に似た、天使みたいな」 ここで、私に似るのはちょっと、 などと口にしてはいけない。 私に似てしまったら 確実に可愛くなくなると 確信してはいても。
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