貴婦人のイタズラ

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「そんな顔しないで、奈々緒」 「仕事中です」 「誰も聞いていないよ、小泉くん」 仕事中にこんな風に 話しかけてくるなんて珍しい。 確かに温人さんは普段から ホテルの各部署に顔を出し 役職に関係なく スタッフに声をかけ 様子を見、労っている。 けれど私が嫌がるのもあって 仕事中の私には あまり近づかずにいてくれるのだ。 GMの部屋に 呼び出すことはままあるけれど。 「体調は?」 「問題ありません」 「良かった。 ……今朝も無理させてしまったからね」 ギョッとして 思わず隣りの体を肘で突いた。 仕事中に、真昼間に なんて話をしようとするのか。
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