貴婦人のイタズラ

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ずるい。ずるい人。 許して、なんて思ってない。 きっといまこの人は 私を抱きしめ貫きながら、笑ってる。 しがみついているから 表情は見えないのに、わかってしまう。 嬉しそうに、笑っているはずだ。 なんて愛おしく、腹立たしい。 「許さないっ。 あんな人と付き合っていたなんて 聞いてない!」 「昔の話で、忘れていたくらいだ」 「嘘つき! あ、あんな人 忘れるはずないっ」 「君に出会ってから 昔のことはすべて忘れてしまったんだよ」 「ひとい、そんな見え透いた嘘……っ」 「本当なんだよ、奈々緒 君は知らないんだ。 どれだけ自分が魅力的なのか」 「嘘つき、嘘つき……ん、あっ」
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