437人が本棚に入れています
本棚に追加
「嘘じゃない。
俺にとって、君がすべてだ。
それ以外はどうでもいい。
奈々緒が最上で、唯一なんだ」
私の奥の奥を
深く抉りながら嘯く。
俺だけの奈々緒、と。
「あの人を、特別扱いした……!」
「してないよ。
奈々緒から遠ざけただけだ」
「そうやって、私の為にって言えば
全部許されると思ったら……」
「何度でも言うよ。
俺の特別は、君だけだ」
左手をとられる。
真上で見せつけるように、
私のリングにキスをする彼。
それは誓いの行為にも見えた。
「愛してる」
熱と慈愛のこもった瞳で
見つめられると
どうしてだろう。
妻というより、女というより
まるで子どものような
無防備な心をさらけだしてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!