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「不安、だった……」
くしゃりと
みっともなく顔を歪め
次々流れていく涙をそのままに
温人さんに手を伸ばした。
「悲しかった。苦しかった」
「うん」
「悩んだし、また……
逃げてしまいそうになった」
「うん、ごめん。
それだけは……勘弁して」
心底弱ったように言うから
こんな時なのに、笑ってしまう。
「どんなに綺麗で魅力的な人が
例え昔良かった人が現れても
私から目を離さないで」
「そんな人は、
世界中探してもどこにもいない」
「そういうの、いいから!
私以外の人にキスしないで
私以外の人をエスコートしないで」
「うん。約束する」
「できれば私以外の人に見られないで」
やっぱり宣言した通り
私はめちゃくちゃなことを言っていた。
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