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暗い、闇の中。
意識が霧散している。
私は誰だったのだろう。
考える感覚も忘れてしまった。
辛うじて意識があるのかもしれない。
時間の問題だろう。
…
……
………誰かが呼んでる。
声は聞こえないが、確実に誰かが呼んでいる。
自分の体のような何かが勝手に吸い寄せられていく。
そして、徐々に、徐々に、
霧散した意識が集められていく。そんな、感覚が、
定着した。
(よし、できたぞ!やった、やったのじゃぁ!!)
こもる声が聞こえる。…ここはどこだろう。
視界は暗いまま全く変わらないが、意識ははっきりしており、五体の感覚もしっかりある。
この声は誰だろうか…古風な、小さい子だということはなんとなくわかる。
和服でも来てるのだろうか?
(よし、わしの声にこたえろ。わかったら右手を挙げよ。)
素直に右手を上げる。…ん? それは私に言ってるのだろうか? 疑問が浮かび、途中で手を下す。
(な、なぜ途中で下すのじゃ!! さっさとあげい!!)
どうやら私に言っているようだ。今度は素直に右手を上げる。
(…今度は素直に聞いたのう。…ああ、しまった、絶対命令の魔法陣間違えてしもうた。)
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