第一話 受肉

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暗い、闇の中。 意識が霧散している。 私は誰だったのだろう。 考える感覚も忘れてしまった。 辛うじて意識があるのかもしれない。 時間の問題だろう。 … …… ………誰かが呼んでる。 声は聞こえないが、確実に誰かが呼んでいる。 自分の体のような何かが勝手に吸い寄せられていく。 そして、徐々に、徐々に、 霧散した意識が集められていく。そんな、感覚が、 定着した。 (よし、できたぞ!やった、やったのじゃぁ!!) こもる声が聞こえる。…ここはどこだろう。 視界は暗いまま全く変わらないが、意識ははっきりしており、五体の感覚もしっかりある。 この声は誰だろうか…古風な、小さい子だということはなんとなくわかる。 和服でも来てるのだろうか? (よし、わしの声にこたえろ。わかったら右手を挙げよ。) 素直に右手を上げる。…ん? それは私に言ってるのだろうか? 疑問が浮かび、途中で手を下す。 (な、なぜ途中で下すのじゃ!! さっさとあげい!!) どうやら私に言っているようだ。今度は素直に右手を上げる。 (…今度は素直に聞いたのう。…ああ、しまった、絶対命令の魔法陣間違えてしもうた。)
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