第一話 受肉

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後ろの首筋を触られている感じがする。感覚的に、布越しで触られているような感触だ。 (…んまあ、何か変なのが付いているわけでもなさそうじゃし、ええじゃろ。…さて、次は視力じゃな。) ん? 視力? まったくもって前が見えないんだが…。 (ああ! しもうた! 目を開けるのを忘れてもうた!) 目を開ける?…ああ、もしかして今私は、包帯まみれか。包帯を外し忘れたと。 なんなのだ…。仕方ない、自分で開けよう。…刃物で開けるか。 (な、何じゃ?…暴れるでない! わしがちゃんと、うお!?) 手の額に、ナイフらしきものを見つける。少し手荒に持っていってしまい、驚かせてしまった。 まあいい、謝罪は後にしよう。今は視界を確保だ。左手で何となくここらへんだなと狙いを定めて、ナイフで軽く開けようとする。。 ブシャ。ボトボトボト。 …痛くはない。なぜか痛くはない。しかし何か嫌な予感しかしない。…膿がたまってるかもしれん。 だとしたらマズい。垂れてくるものを出なくなるまで出し、片目を切り開こうとする。 (あ、あわわあわ…。) 心配もさせてしまっている。早くやろう。さっ、と切り開く ブシャッ。ドロドロドロ…。 勢いよく何かが噴き出し、たれ流されていく。まるで臓物が噴き出ているかのようだ。 とにかく出すという使命感の元行動し、全部出しきる。 (…うえ…。) 目から水が噴き出す感覚を覚えつつ、ゆっくりと視界が晴れていく。 徐々に気持ち悪さがなくなり、気のせいか前よりすっきりした。 視界が晴れていくにつれ、目の前がしっかりしていくのと同時に、自身の肉体の感覚がさらにはっきりしてきた。やはり膿が溜まっていたようだ。衛生面に問題がありすぎるな。
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