love is blind

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love is blind

 天気の良い昼休み、第三校舎屋上、それが誉と久住の待ち合わせ場所になっている。立ち入り禁止となっている場所にも関わらず、鍵は何故か掛かっていない。他の誰かもこっそり使っているのか、元々鍵が掛かっていないのか分からないが、ありがたく活用させてもらっている。 「そういえば久住って、購買の激辛カリーパン好きだって言ってたよね?」 「ああ、でも滅多に買えねぇからな。最近はそーでもねーかな」  二個目の惣菜パンの袋を開けながら、久住は誉の問いに答える。  本日の久住の昼食は、購買で焼きそばパンと辛子明太マヨネーズパンを購入していた。見た目も内容も、どちらもひとつで十分なほどのボリュームだが、食べ盛りの男子高校生には若干足りない量である。 「そうか…」  そう言ったきり静かに弁当を食べだした誉が気になり窺うと、しばらくして箸を止めてしまった。 「どーしたんだよ。弁当に嫌いなもんでも入ってんのか?」  誉の弁当を覗き込み、目についたささみの紫蘇チーズ巻きフライを失敬する。美味いな、ともう一つ手を伸ばしたところで誉は我に返り、久住の右手を掴んだ。     
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