翡翠色の秘密

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「ふざけんな! ここですんなって言ってるだろ!」  実際はどこでヤってようとアレはやってくる。でも口が裂けてもそんなことは言えない。葵がヤられてる間、俺も犯されてる感覚になるなんて葵が知ったら、こいつのことだ、面白がって、ますます男漁りするに決まってる。 「うるさいなぁ。んなのいちいち構ってらんないって。あ~、もー」  葵はめんどくさそうに耳に指を突っ込で、部屋の中を向いた。 「悪るいけどもうやめ。(あきら)のせいで気分萎えちゃった。帰るわ」  扉を開けっ放しにして、ベッドに戻る葵。シーツをバサッと脱ぎ捨てシャツを羽織る。その手を黒川が掴み引き寄せる。引っ張られてよろけた葵にキスした黒川が言った。 「なぁ、じゃあ場所変えしようぜ。俺まだ」 「うざい。そういうめんどいのヤなんだよね」  葵は黒川の腕を振り解くと、サッサと脱ぎ散らかした制服を身にまとった。白けた表情。ドアの前で立ち尽くす俺の肩を「じゃね」という感じに緩く握った拳でコンと叩いて出て行ってしまう。  俺はその後ろ姿が見えなくなるまで見つめ続けた。
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