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学校が始まっても私はなかなか先生と会わなかった。
授業があるだけ。
たまにすれ違っても挨拶をするくらい。
おみくじは当たっていた。
『努力次第でしょう』
努力なんてできない。
仕方も分からない。
私が女じゃなかったら、男だったら先生は私を見てくれた?
私が生徒じゃなかったら、もっと早く生まれてたら……。
そのどれも叶わないなら、せめて、せめてあなたのいない世界に生きたかった。
辛くて苦しくて、泣きそうで、だけど泣けなかった。
その頃にはもう決心していた。
この恋は叶うことがないのだから忘れてしまおう、と。
だって忘れてしまわないと私は壊れてしまう。
先生が好きすぎて。
だから、もう好きじゃない。
先生は先生。私は生徒。
嘘で真実を隠して、私は私に戻ろうとしていた。
先生を意識する前の私。
辛いことなどなく、ただ笑って過ごしていた時の私。
そう思うとなんかそんな気もしてきた。
さようなら、私の初恋。
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