プロローグ

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恋なんて知らなかった。 好きだとか嫌いだとか、そんなこと考えたこともなかったし、自分が誰かを好きになる日が来るなんて微塵も思っていなかった。 だけど、私は恋をしてしまったのだ。 絶対に叶うことのない初恋だった。 高校3年生になった時に異動してきた女の先生。 最初は特別な感情はなかった。 元気な先生だな、とかいつも笑ってるな、とか。 きっかけもこれといってなかった。 ただ気が付いたら先生を目で追っていて、いつも先生のことを考えていて、どこにいてもその姿を探していた。 詳しくは思い出せないけど、多分2学期の前半だったと思う。 私は誰にも言えずにずっとこの感情を抑え込んでいた。 あの時は、すごく辛かったな。 少しだけ、ほんの少しだけ過去を振り返ってもいいかな。 「ねぇ、先生、少しだけ付き合ってくれますか?」
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