11月

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私は先生を好きだと思うばかりで、それがどういうことかまだよく分かっていなかったのかも知れない。 ただ好きでいるだけで、会うだけで嬉しくて、声をかけてくれたらもっと嬉しくて、会えない日は少し寂しくて。 そんな毎日で私はようやく気がついた。 私が好きになった人は、絶対に好きになってはいけない人なんだ、と。 学生の私たちには家と学校が世界のほとんどで、先生は先生。 そうでなければならなかった。 まさに禁断。 さらに私の場合は同性だという高い壁もある。 今の日本では同性愛には偏見があり、外国ほど周りに受け入れられない。 周りだけじゃない。 先生にも気持ち悪い、って思われたらどうしようってやっと気が付いた。 だけど、好きになってしまったこの気持ちを否定することはもうできなくて、ただただ抑え込もう、とそれだけだった。 この頃、私はいつも考えていた。 どうして先生が好きなのかな、って。 私の好きなタイプとは正反対なのに。
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