52人が本棚に入れています
本棚に追加
それなのに、どうして私は好きになったんだろう、って。
何度も考えた。
好きにならなかったら先生だから、って、女同士だから、って悩むことなんてなかったのに。
関わりを持たなければ、好意を抱かなければ。
そんなこと考えたってもう遅いのに。
私はしっかりと先生の鎖に絡め取られてしまっていた。
そして、その月は私の誕生日があった。
その日は偶然にもいつもより先生と話す機会が多くて、すごく嬉しかった。
「私、今日誕生日なんです。お祝いしてください」
何度も心の中で言った。
だけど結局その言葉が口から出ることはなかった。
いつもより多く話せたことが誕生日プレゼントだ、なんて自分で自分に言い聞かせて。
最初のコメントを投稿しよう!