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以上がОB参加の“サークル飲み”席で、先輩が話してくれた内容です。ここからは私の友人“T”の話です。この話に大きく関心を抱いていた彼は元々、怖い話が大好きという事もあり、この後、渋る先輩から“廃村”の場所をしっかり聞きだしていたようです。
「ネットのストリートビューで見たら、本当にあるんだよ?その場所!しかもだぜ!!
何の開発もされてねぇ。先輩が行った時と、そのまんまの感じなんだよ。」
飲み会から何週か経った、ある日のサークル帰りに、その話は出ました。興奮気味で喋る
Tの目は爛々と輝いています。悪い予感がしました。
「ストリートビューで映ったって事は、人が入ったって証拠だろ?先輩の言ってた
“モリノヒト”だっけ?…何で出てこない?可笑しいだろ?そんなもんは、もうとっくにいなくなってるよ。だいたい俺らが、中坊くらいの時の話だぞ?何年前だよ?」
「きっと、隠れたんじゃねぇかな?大勢人が来たからビビってさ。どっちにしろ
面白いじゃん。」
このTという人物は夜中の墓地に友人数人と入って大騒ぎをしたり、立ち入り禁止の廃墟でサバイバルゲームをするような大バカ野郎です。次の言葉も、私が予想した通りのもの
でした。
「だからさ、一緒に行かね?先輩の話、確かめてみようや。」
「遠慮しとくよ。ゼミの課題もあるし、そういった所には、下手に足を踏み入れる
もんじゃない。」
「へっへ~、ノリ悪いな。まぁ、仕方ねぇか。」
Tの方も、私の答えを予想していたのでしょう。あっさり話を引っ込めました。
手際よい彼の事です。もう、メンバーを揃えている筈です。こちらも予想通りで、
彼はすぐに実行しました…
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