ネトゲ

姫と騎士

あれ…？俺視力悪くなったかな…？写メのアリスにゃん、それはもう読モの様に可愛かったけど……。俺の方が可愛くね…？

でも俺は何となく気付いた。あの写メは詐欺写メでも何でもなく、他人の写メを悪用したのだろうと。
これなら最初にオフ会を渋っていたのも分かる。そりゃそうだ、写メと別人だもんね。

呆然としている俺を他所にメンバーは一人ずつ自己紹介をしていった。でもその言葉は殆ど耳に入らなかった。
俺だって人間顔じゃないと思うよ？でもこう、他人の写メを悪用したその狡賢さというか、なんというか…。俺はそこに猛烈に冷めたのだ。

とか考えているとある事に気付いた。メンバーが一人足りない。

「あと来てないのは誰っすか？」

「来てないのはソルジェ君だね」

「あぁ……」

ソルジェ

俺はこいつと仲が良い。
ソルジェというのはニックネームだ。そう、ネット上の名前に更にニックネームがあるのだ。いやはや可笑しな話だ。
本名は〝ソルスティック・ジェナイダー〟
いや違う、正確には〝†地に堕ちた閃光の堕天使ソルスティック・ジェナイダー†〟こいつホント馬鹿。
そんな馬鹿な男は俺と同じ年らしい。喋った事も勿論あるが、あまり口数が多くない為個人情報は全く知らない。

どうせこんな名前を付ける奴だから、スッゲーのが来るんだろう…。
バンダナ巻いて、リュック背負って、シャツをインして…そんな感じだろうと、何となく思った。
でも人間見た目じゃない。勿論顔でもない。俺はアリスにゃんを見てそう確信したんだ。だからどんな奴が来ても俺達は友達だ。