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「いいかソルジェ、アリスにゃんに余計な事は言うな」
俺はソルジェに鏡越しにそう言った。それはアリスにゃんの為ではなく、場の空気を変えない為の案だった。
それを理解したのかしてないのか、ソルジェは鏡越しに俺を睨んでくる。
「だって顔ちがくね?」
…ここでもそれを言うか…。いやまぁ違うけど…。
「お前も写メ貰ったのか?」
俺は気になっていた事を聞いた。アリスにゃん、俺だけとか言ってたけど他の人にも写メをあげていたのかと。
するとソルジェはうんと頷いた。その途端、俺は裏切られた様な気分になった。
恋をしていた訳じゃない。ただ単にこんな可愛い子と一緒にゲームが出来るなんて、と舞い上がっていただけだ。
だけどアリスにゃんは嘘をついていた。それも二個も。
「はぁ~~~~」
大きな溜息が口を出る。
するとソルジェは鏡に背を向け洗面台にもたれかかった。
そして俺を見ながら真っ直ぐにこう言う。
「あぁいう女は駄目だ」
「駄目ってなんだよ…」
「俺色んな女を見てきたけど、嘘を平気でつく女が一番タチがわりぃ」
ヤンキーな見た目のソルジェが言うとその言葉は妙に納得出来た。
確かに嘘はよくない。だがやはりはっきり物を言うのもトラブルの元だ。
俺はソルジェの言葉に納得出来たものの、どう穏便に事を済ませられるかを第一に考えた。
考えた結果、
「ソルジェ、いいか、とりあえず黙っとけ」
ソルジェを黙らす事にした。
それに納得したのかソルジェは頷く。なんだコイツ、意外と物分りいいじゃん。
俺達は皆が待つ席に向かう為トイレを出た。
俺はその道中に聞いてみた。
「お前は何でオフ会に来たんだよ」
「は?お前に会う為じゃん」
「あぁ、俺に…。俺?俺ぇぇ!?」
「いつもヒーラーで頑張ってる奴、どんな奴か拝んでみたくてな」
初めて見たソルジェの笑顔に、俺はアリスにゃんに会った時よりもときめいてしまったのである。
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