愛吟学園

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直也と話しながらだと、新入生代表やら、校長やら…長々と始まった話も短く感じる。 最後に聞こえた話によると、今日は教室へ行くことなく寮で同室者と親睦でも深めろとの事らしい。 鍵と部屋番号は、(あらかじ)め家に届いていた。 分からないのは同室者だけ。 入学式も終わり、クラス毎に担任が寮まで案内をするってことで直也と別れた。とは言っても、向かう場所は同じだけど。 体育館から中庭を通って行く寮はこれまた遠い。今日だけですげー運動してる気がする…。 中庭も広いし、寮もやっぱり負けず劣らずデカい。 寮なんて言ってるけど、これはマンションに近い。てかマンションだ完全に。 直也の話によれば、ここの土地を持ってた超大金持ちが、趣味で実家をそのまま学園へと変えたらしい。学園を作る趣味とは…俺には到底理解出来ない趣味だけど。 常識はずれの寮の前で解散になり、エレベーターで二階へ行く。 「二○六号室。ここだな」 迷うことなく、これから自分の家になる扉の前に立つ。表札には俺の名前と、もう一人。 〔二○六号室〕 一年五組 桐生 恭介 一年五組 榊原 新 「おお。クラス一緒じゃん」 良い奴だったら良いなと期待を抱きながら、貰った鍵で部屋を開けると…これまた常識外れのデカい部屋。 風呂にトイレ…リビングに寝室。これだけなのに一つ一つの部屋がデカい。 寝室にはベットが二つ置いてあって、そのベットもデカい。 綺麗に整えられたホテル並の部屋を物色していると、部屋のあちこちに無造作に置かれたダンボールの一つが、ガタガタと揺れているのに気づいた。 「え、なに…?」 怪奇現象か何かか…ビビりながらそのダンボールに近付くと、 「ドーンッ!やっほ。俺、榊原(さかきばら) (しん)っ!て…どうしたのうずくまって…そんなにビックリした?人間ビックリ箱!」 中から人が出てきた。 何が人間ビックリ箱だよ…見事に顎に頭突きがクリーンヒットしたじゃねぇか…! これ喧嘩だったら致命的だからね!?軽い脳震盪(のうしんとう)起こすやつだから! あー。フラフラする。
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