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聞こえてくるのは、力一杯泣く、赤ちゃんの泣き声だった。
「オギャアァァー」
赤ちゃんの姿を探しても、どこにも居ない。
それよりも、僕の目の前に、紳の顔が…。
優しく覗き込む顔は、少しだけ大人っぽい。
いや、大人だった。
そんな紳の腕に抱かれている僕が、泣き声の主、赤ちゃんなのだと気付いた。
「宗一、ほら、泣かないで。」
優しく僕をあやす紳。その声と、腕の中の暖かさに安心して、大人しく瞬きをする。
どういう事だ?
生まれ変わり?
えっ、紳の子供として?
困る!それじゃ、紳に告白なんて出来ないじゃないか!
だって、紳は結婚してるって事でしょ?
奥さんが居るんでしょ?
あぁ、神様!いくらなんでも、これは無いよね?
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