586人が本棚に入れています
本棚に追加
「いないかな。仲間や友達としての付き合いはあっても、恋人なんて関係は。第一、追われるのって苦手なんだ。なんか、重荷になってきて。同じ相手と四六時中ってのも、面倒になってきたし」
「うわぁ、根っからの遊び人。ランバート不潔」
ボリスの質問に答えると、横合いからハリーが野次を飛ばして首に抱きついてくる。けっこう酔いが回っている様子だ。
「家が五月蠅く言ったんじゃないのかい?」
「言わないよ、うちは。ヒッテルスバッハは恋愛婚推奨なんだ。珍しいだろ?」
首を傾げて苦笑で言った。実際かなり珍しいと思う。貴族の家は政略結婚が大概なのに、ヒッテルスバッハは昔から恋愛婚。相手の身分もあまり問わない。周囲が五月蠅く言おうが、当人達がそれで覚悟ができているならそれでいいという家訓だ。
「確かに珍しいな。俺には兄が二人いるが、五月蠅く言われていた。毎日のように見合い話を持ってこられて面倒だと、この前帰ったら愚痴られたよ」
苦笑したゼロスがそんな事を言う。結婚適齢期ともなると、それが普通なのだろう。
「ランバートは兄弟いるよね」
レイバンが気のない顔で言う。既に体は離れている。対してハリーはベタベタだ。多分、そういう酔い癖なんだろう。
「そいつウザいだろ? なんなら一発殴ってもいいぞ」
「コンラッド五月蠅い。ランバートって、いい匂いするんだ。それに好きにさせてくれるから結構好き。顔も好み」
最初のコメントを投稿しよう!