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寂しそうな顔が一瞬覗く。なんとなく、言葉がない。どう声をかけていいか、そんな事を思っていると側のハリーが離れて突進するようにレイバンに抱きついた。
「なにぃ!」
「可哀想だよレイバン! 俺の胸でお泣き!」
「嫌だよそんな薄っぺらい胸! ってか、そんな悲観してないって。今楽しいし、俺はこの仕事天職だし、衣食住保障されてるし」
「命の保証ないじゃん!」
「お前、同じ騎士団にいてそれを平気で口にするか?」
なんだかしんみりした空気が壊れた。ランバートは苦笑して、抱きつく二人をまとめて抱きしめた。
「次はなに!」
「なんとなく? あぁ、でも婚活候補には入れておくよ。俺が追いたくなるほど魅力的になってね」
「無茶言うなよな、ランバート。俺だってさすがに、ファウスト様やシウス様、オスカル様と並べないって」
ふて腐れたように言うレイバンに、ランバートは首を傾げる。そして首を傾げた事に、ゼロスやコンラッド、ボリスが驚いた顔をした。
「「違うのか!!」」
「だから何が!」
いちいち驚かれるけれど、一体何が違うんだ。レイバンを離して座ったランバートも思わず叫んでしまう。いったいどんな勘違いが生まれているっていうんだ。
「いや、俺はてっきりファウスト様と…」
というのはゼロスだ。確かに距離の近さを見ているだろうから、こんな発想に行き着いたのには納得もできる。
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