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「あの人は部下から恋人を作らない。そう、団長に就任した時に決めたそうだ。単純に俺を誘うのは、誘いやすいからだろう。後、あの人は優しくて世話好きだから」
再びハリーが近づいてきて、ランバートの膝で寝転がった。自由な猫のような奴だ。
「それ、殴り倒そうか?」
「いいよ、このままで。ハリー、悪戯したら頭踏むぞ」
「はーい」
嬉しそうにしているのなら、別に構わない。溜息をついて、ランバートはされるがままにする事にした。
「部下から恋人を作らないってことは、一生独身か?」
「頑固だからな、ファウスト様は。多分、そのつもりなんだと思う」
それに、ランバートはファウストの思いが分からないわけじゃない。以前言われた事を思い出す。「自分より先に相手が死ねば、心がそれに耐えられない」と。
「でもさ、人生何があるか分からないものだよ」
ニヤリと笑ったレイバンが、挑むような瞳を見せる。スルッと近づいてきて、楽しげに唇にキスをした。触れるだけのとても軽いものを。
「こんな風にさ、誰かがランバートに迫ったら案外焦るかもよ? ファウスト様って恋愛鈍そうだし、取られる寸前になって気づくなんてこともあるんじゃない?」
「お前な…」
ゼロスが頭を抱えた。そこに苦笑してコンラッドが酒を注ぐ。ボリスはニヤニヤだ。
「なんならカマかけてみる?」
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