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「やめとく。あの人怒らせたりすると、けっこう拗れるしさ。何より俺は、今の感じが好きなんだ」
側にいて、鍛錬でも遠乗りでも一緒にさせてもらって、話をして。ファウストの事が少し分かるようになって、ファウストもランバートのことが少し理解できていて。言葉がなくてもそれで構わない。そんな、穏やかで優しい関係が。
「まぁ、色恋に他人が無理に入っていくと泥沼だ」
「一理あるかな。レイバン、ほどほどなんだよ」
コンラッドとボリスに取りなされて、楽しそうな猫の目が少し不機嫌になる。楽しい玩具を取り上げられて拗ねている感じだ。
「さーて、寝たい奴は寝ろよ。ランバートは、雑魚寝でいいのか?」
立ち上がったコンラッドがハリーの所にきて、気持ちよさそうにしている首をつまみ上げて布団へと放り込んだ。なんとも雑だが、これでいいのだろうか。
「俺は毛布あれば十分だ。ってか、けっこう慣れてる」
「慣れてる?」
疑問そうなコンラッドがランバートを見る。ゼロスも同じようだ。
「俺、下町に入り浸ってたから。路上とかでも寝れるし、雑魚寝も平気。よく傭兵ギルドで朝まで飲んで騒いでた」
「下町!」
「傭兵ギルドって、ドゥーガルドみたいなのが一杯いるって聞いたけど、本当?」
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