【おまけ2】贈り物

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 その日の夜、ランバートはファウストの呼び出しを受けた。呼び出しと言っても失敗をしたわけではなく、夕食の時に「少しいいか?」と声をかけられたのだ。  三階のテラスが、なんとなく少し話をする場所になってきた。そこから外をぼんやり眺めていると、程なく音がして待ち人が来た事を知らせてくれた。 「すまない、待たせたか?」 「いえ、それほどでは」  穏やかに近づいた人が隣に来て、不意に腕章に触れる。少しだけ複雑な顔で。 「お前、あまり嬉しそうな顔をしなかったそうだな」 「素直に受けるには少し大きすぎるので。これは、本当に正当な評価でしたか?」 「むしろ不公平なくらいだ。目一杯マイナスにして、他の団長達とも議論をしてもここが最低値だった。これ以上下げるとなると、他の隊員も下げる事になるからな」  苦笑するファウストからは嘘を感じない。そして、ランバートを案ずるような色も伺えた。 「赤ラインでもいいと言う奴もいたんだ。だが、それは流石に前例がない。お前の評価があまりに高いと、他が何か言うかもしれない。どこの世界にも多少は妬みがある」 「お気遣い頂いて、有り難うございます」     
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