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レイバンはニヤリと笑う。そして、「何だろうね」と濁したまま立ち上がり、ランバートの腕を引いた。
「んじゃ、俺は部屋に戻る。ランバートもこんなのに付き合ってないで、寝なよ」
「じゃあ、俺も行くわ」
これ幸いと逃げるようにその場を後にする背中に、第五師団のブーイングが聞こえた気がした。
レイバンはカラカラと愉快そうに笑っている。その隣で、ランバートは苦笑していた。
「お前、なんかやばいことしてないよな」
「ん?」
機嫌のいい猫のような瞳が愉快そうに細められる。眼鏡の奥で、楽しげに瞳がキラキラと光った。
「どんな契約したんだよ」
「あぁ、あれね。先輩も俺も独り身だから、相手が欲しくなったらやろうって話。勿論、恋人が出来れば後腐れなく止める。そういう契約」
「やっぱり、その手の契約か」
溜息が出るが、なんとなく想像出来た事だ。
「ランバートは?」
「ん?」
「同室、ラウル先輩だろ? 先輩に言って、出てもらうのか?」
レイバンはラウルの恋人がシウスである事を知っている。だからこそ、疑問に思ったのだろう。
苦笑して、首を横に振る。そしてこっそりと対処法を教えた。
「どうしようもない時には、熱が冷めるまで外を散歩したり、素振りしてるんだよ」
「何その健全すぎる方法!」
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