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「だって、すっごい玉の輿。しかもランバート美人だから、夜も楽しそう」
妙に艶のある紫の瞳が覗き込むのを見て、ランバートは苦笑する。確かに一時を楽しむには悪くないのだが、生涯の相手となるとちょっと違って見えた。
「だっ、ダメだぞ! そんな不純な動機」
「おやぁ? 不純じゃない動機ってあるのかなぁ?」
「それは、その! だって、玉の輿とか体の相性とかで人生決めるのは!」
「トレヴァー、からかわれてるぞ」
あきれ顔のゼロスが取りなし、ランバートは側のレイバンと顔を見合わせて大いに笑った。
酒が進み、食事が進み、それぞれ楽しく時間が過ぎる。みんな気のいい相手で腹を割って話せた。
トレヴァーは性格が真っ直ぐで嘘がなく、思った事は口にする。
ゼロスは多くは語らないが付き合いがよく、全体に気を回せる奴だ。
レイバンは悪戯や悪乗りもするが、相手は選ぶ。それに、案外暖かみのある相手だ。
そしてコナンは控え目だけれど、慣れてくれば笑顔で話をしてくれる。
「なぁ、ランバート」
酒が進んだトレヴァーの目は据わっている。持っていたジョッキを置いてズイッと顔を寄せたかと思えば、さっきまでの遠慮がどこに飛んだのか迫る勢いで近づいた。
「ファウスト様って、どんな人なんだ」
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