安息日の朝

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「そんな余裕なんてないって」  高い音が鳴って、レイバンは剣を落とした。ファウストの剣は重たいから、それで弾かれたんだろう。 「面白い剣だが、少し忙しいな。もう少し狙いを絞ったほうが相手を狙える。相手の動きを見極めるまではむしろ受けに回ったほうが効率がいい」 「受け身に回ったら第五師団じゃありませんよ」 「まぁ、そうだな」  苦笑したファウストが肯定するのに、レイバンは楽しげに笑う。けれどファウストに背を向けてランバートを見た目は、言葉以上に悔しそうで、同時に思慮深かった。 「ランバート」  声をかけられて、思わずそちらを見る。ファウストが手で合図をしているのに、ランバートは苦笑した。 「俺はいいですよ。今日は見学」 「怠けるな」 「そんな事言って、動きたいだけじゃないですか」 「そう思うなら付き合え」  溜息をついて舞台に上がったランバートは、構えを緩く崩す。ファウストもこれまでみたいに型にはまった構えはしなかった。  場が静かだ。そして、いい緊張感だった。  高まった気を放つように、ランバートは真っ直ぐにファウストに向かった。いつもならここで強く当たる。ファウストだって分かっている。だから今回は、手を変えた。     
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