安息日の朝

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 寸前まで迫ったランバートは、素早く身を低くかがめた。ファウストの視界から消えるように見せかけて下から狙った。  驚いたような黒い瞳を見るのは面白い。不意を突けた事が楽しかった。  けれどやっぱり受けられる。切り上げた剣を弾かれたランバートは、いつものように下がらない。弾かれた力を逃がすように自然と流し、体はファウストの隣を走る。すり抜けて、そこから更に一撃だ。  だがこれも受けられる。しっかりと切り結んだファウストの目から、いつもより真剣さが伝わってくる。  後ろに弾き飛ばされたランバートが着地すると、既にファウストは目の前にいた。意外な早さに驚くが、受けられなければ怪我をする。剣を構えて受けたそれは、いつもより重い。そして、押し返すと直ぐに空いた脇から拳が飛んだ。 「!」  強い力ではないが拳がヒットして少しよろける。その間にファウストの足が剣を蹴り上げてしまう。負けじとランバートは回し蹴りでファウストの頭を狙ったが、それも片手で受けられて、逆に捕まれて引き倒された。 「っ!」 「悪い、少し加減ができなかったか」  強かに体を打ったランバートが転がると、ファウストは意外と心配そうに声をかけて手を差し伸べてくる。その手を取って座ったランバートは、明らかに拗ねた顔をした。     
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