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「手加減して下さいっていつも言ってるのに」
「悪い、今日はいつも以上に加減できなかった」
本当に申し訳なさそうに言うファウストは、次にふわりと笑う。優しく誇らしく、そしてどこか嬉しそうに。
「強くなったな、ランバート。初手からの連続は、少し焦った」
「第二師団の皆様は、こういうのが得意なので勉強しました」
「末恐ろしいな。そのうち本当に一本取られそうだ」
「いつかそうしてみせます」
ニッと不敵に笑ったランバートに、ファウストは困った顔をする。けれど、やっぱり少し嬉しそうだ。
礼をして舞台から降りると、みんなが驚いたような、そして頼もしい目で見ている。ゼロスとレイバンなんかは、なんだかとても楽しそうだ。
「ランバート、今度組み手やろう」
「え?」
「トレーニングも頼もうか。お前の動きは俺にないものがある。是非、参考にしたい」
「え?」
楽しそうなレイバンは今すぐにでも組み手をしたい様子だし、ゼロスはとても真剣な顔をしている。どうやら彼らの何かを刺激したようだ。
「ランバートって、やっぱり強いんだな」
目をまん丸にしたままのトレヴァーが口にし、言葉もなくコナンが頷く。なんだかとても恥ずかしくなって、ランバートは苦笑した。
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