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「今日は実践を意識して、誰がどのくらい動けるかを確認する。ルールは本番とほぼ同じ。鬼は審判席で五分経過するのを待つ。逃げる側はその間に逃げる。五分経って動き出す前に、声をかける。鬼に腕章を触られたらアウト、審判席に戻る。ゲーム時間も本番通り」
「了解」
昨日確かめた通りの内容だ、間違い無い。
あの鬼のような訓練の後、全員が集まって今後の予定を話し合った。そしてまずは、誰がどのくらい動けるか。特性も含めて確認する事が必要だとなった。
それを今日、これから確かめようってわけだ。
「さて、最初の鬼は誰が…」
ゼロスが言うのに、レイバンは黙って手を上げた。全員の視線が集まる。ゼロスはまぁ、分かっていたんだろう。困った顔で笑っている。
「最初から激戦になるな」
「楽しい鬼ごっこしましょ」
ニッと笑って言うと、全員が苦笑して頷いた。
審判用の席にはまだ何もない。そこに棒で円を描く。捕まったらここに入るわけだ。レイバンはそこに『Prison』と書いて嫌な顔をされた。
「さぁ、ゲーム開始」
手を叩いてゲームスタートを告げると、一斉に散っていく。
レイバンはそれを見送って、口元を緩めた。
早く五分が経たないか、待ち遠しくてたまらない。時計を見て指折り数えて、軽く体を解していく。そして、五分経過でニンマリと笑った。
「いっくよー」
声をかけて、レイバンは耳の後ろに手を当てて目を閉じる。
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