昇級試験(ファウスト)

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「ランバートの評価を例年通りにし、尚且つ昇級試験の結果を加味していくと、軽く青線を飛び越える。経験のない者がいきなり十人単位の部隊の指揮ができるレベルに落ち着くのは、他の隊員との関係を考えても良いとは思えなくてな」 「まぁ、それでなくとも我らとの関係が深い事で、奴は同期との関係が希薄じゃ。嫉妬がないわけでは無かろうな」  シウスも気遣わしい顔をして言った。  ランバートは隊での時間を除くと、自室で過ごすかファウスト達と過ごす事が多い。多くの一般隊員がラウンジなどにいる時間を、ファウスト達と過ごしている。その為、他の隊員からは優遇されているように見えている。  実際はそうではなく、むしろ甘い評価など誰もしていないのだが。 「気苦労が多いの。武ではほぼ誰も、奴の上は行けぬか?」 「剣は無理だな。あいつが本気でやれば師団長レベルで通用する。他の項目でも、数人可能性があるがそれでも上位だ。馬術なら、フリムに難なくついて行けた」 「それはそれは。そうなると、ますます差が出よう」  シウスも同じように悩んでくれる。そして、とある項目を指さした。 「奴には酷かもしれぬが、弱点を突くのが上策。こうなったは我らの責任でもあるからの。少し厳しく鞭を入れようぞ」  シウスが差した項目はランバートの評価で唯一評価の低い場所だった。
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