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程なく草むらに隠れていたコナンを見つけた。熊のようにバーッと出て行ったら、泡でも吹きそうなくらい驚いて泣かれた。ちょっと悪かったと思う。
「ごめん、ちょっとふざけすぎた」
「死ぬかと思いました!」
「ごめんね」
落ち着くまでしばらく側にいてから、コナンを送り出す。
そこから耳を澄ませても、やっぱり音はしない。残るはゼロスとランバート。この二人はとにかく見つけづらい。
「やっぱあの二人に音は無理か」
特にランバートなんて、普段歩いてる音すら小さすぎて注意しないと分からないんだから。
それでも手がないわけじゃない。かすかに香る臭いは確かに風上からしている。
「ゼロス、みっけ」
音を立てないように気をつけて進んでいく。草を無理に分けるんじゃなく、回り込むように距離を取って行くと徐々に見えてきた。
ゼロスは見通しのきく開けた場所で黙って待っていた。一戦交える事は当然だと考えたんだろう。相変わらずよく分かっている。
レイバンは慎重に隙を伺った。ゼロスとは身長的にはそれほどの差はないけれど、体格的にはゼロスが上だ。しかも体術は得意だから、長くかかればこちらが疲弊する。
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