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背後は警戒しているし、正面なんてもってのほか。利き手側は反応が早い。狙うなら、左側斜め後方!
周囲を気にしてレイバンの隠れる茂みにほんの少しゼロスが背を向ける。その瞬間、レイバンは走り寄った。
音に気づいたゼロスが構えるギリギリで、レイバンは高い回し蹴りを見舞う。だがそれはゼロスに受け止められて逆に足を取られた。
だがそれで諦めたりはしない。捕まれた足を軸にもう片方の足を蹴り上げゼロスの首に足を引っかける。そして腹筋を使って上体を持ち上げると、そのままゼロスの頭を掴んだ。
「離せ馬鹿!」
「やーだね」
ジタジタと暴れるゼロスの腕章をタッチして、レイバンはニヤニヤと笑った。不意打ちが成功して満足だ。
「降りろ」
溜息をついて観念したゼロスの肩から降りたレイバンは、ニヤリと笑う。それを見るゼロスの悔しそうな顔といったら、たまらなかった。
「お前はサルか」
「もう少しかっこいいのがいいなー」
「ったく、どんな野生動物だ」
頭をガシガシとかいて悔しげにしているゼロスを見るのは実にいい。こいつに一泡吹かせてやるのは、なかなかの優越感だ。
「後何人だ?」
「ランバートだけ」
「早いな」
「みんな見つけやすいからさ」
頭の後ろに手をやって言うと、ゼロスは不思議そうに首を傾げた。
「お前、コーヒーの臭いするよ」
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