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「コーヒー?」
「そっ。昼食の後、必ずコーヒー飲むだろ。その臭い」
「そんなの嗅ぎ分けるのか!」
「俺、スパイスとかハーブの臭いに敏感なんだ。コーヒーなんてわかりやすい」
これも得意。料理だって臭いを嗅いでどんなスパイスが使われてるか分かるくらいだ。ちなみに、好きなんだ。
「でも、最後が問題。ランバートを見つけられるかも分からないんだ」
「そんなにか?」
「普通の道でもあいつ足音がほぼしない。味の濃い物を好まないのか、スパイスや飲み物の臭いもしない。ついでに言うと、もの凄く気配消してる」
そう、さっきからまったく気配が分からない。ただ、遠くない場所にはいる。時々、気のせいかと思える程度の視線を感じる。けれど、姿は捉えられない。
「後十五分かな。頑張る」
「あぁ、頑張れ」
肩を軽く叩いてゼロスは行ってしまう。
そうして開けた場所でしばらく黙って座っていると、かすかな音がした。それは、上の方。
「木の上か!」
近くの木に足をかけて腕を伸ばして枝を掴み、鉄棒の要領で枝の上に立った。その目の端に、金色の光が地面に降りたのを見た。
「見つけた!」
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