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でも、かなり早い。下に降りてとにかく追ったけれど、半信半疑だ。間違いないとは思うけれど、確信が持てるほどの気配がない。
それでも耳を澄まし、感覚を研ぎ澄ませば動いているのが分かる。
やがて、少し開けた動きやすい場所に出た。ランバートはそこに立っていて、苦笑していた。
「見つかったんじゃ、仕方ないな」
「観念する?」
「それでもいいけど、一戦したいって目をしてる」
「当たり」
ニッと笑って、レイバンは素早く走り寄った。身を低くして獣が走るように近づいていくけれど、ランバートはそれを見切って後方に飛ぶ。
それも予想して、更に手で地を蹴って前へ。ランバートはその直線上から流れるように脇をすり抜けた。
「すっげぇ」
楽しい!
ゾクゾクしてくる。そして、楽しくてたまらない。背筋が震えそうだ。笑いが止まらない。
「やっぱランバートとは味方じゃなくて敵になりたかった。凄い楽しい!」
「お前、やっぱりちょっと性格狂ってるな」
「戦闘狂なんてのは、よく言われる」
だって、楽しいんだ。強い奴と戦ってみるのはとても楽しい。ファウストくらいレベルが違うとちょっと身の程を知るけれど、ランバートとはそこまでじゃない。特に肉弾戦なら。
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