585人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
★ランバート
寒さも和らぐ季節。ランバートは日常と変わらぬ生活を送っている。
だが先輩達の様子は少し違い、ソワソワとしていた。
「先輩達は、何か気になる事があるのでしょうか?」
隣にいる三年目の先輩に声をかけると、彼もまた落ち着かない様子でにんまりと笑った。
「もうすぐ一年目の昇級試験があるんだ。毎年この時期はお祭り騒ぎなんだ」
「昇級試験?」
先輩の楽しそうな話に、ランバートは訝しい顔をする。心境的にはあまり興味はなかった。
「一年目は活躍の場も少ないからあるんだ。お前の腕章、今はラインが白いだろ?」
左腕につけられた腕章に入っているラインは、確かに白く一本だ。だが先輩達はそれぞれ色がつき、ラインの本数も人それぞれだ。
「一年目は白。そこからは階級によって青、赤、黄、紫、銀、金になるんだ。師団長は金、銀は副官な。それぞれの色は一から十に分けられる。青のライン十本から上がると、赤のライン一本になる。これによって、任される仕事や率いる隊の人数が変わるんだよ」
「ちなみに、給料面では少しずつ上がる」と鼻息荒く先輩は言った。
「第二部隊は隊を率いるって感じがあんまり無い少数行動だけどな。第一師団での階級はもろに仕事に響く。級が上がらないと部隊を指揮できないからな。それに、仕事ができないって評価が付くのもいい気がしないだろ?」
「俺はあまり気にしませんけれどね。むしろ、下でのんびりやりたいです」
「お前、相変わらず欲がないのな」
呆れた物言いの先輩が溜息をつく。けれど、ランバートの素直な意見はこれだった。
最初のコメントを投稿しよう!