試験当日

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★レイバン  試合開始の合図と共に、レイバンは上から相手チームの動向をうかがった。側にはランバートもいる。最初の指令をここで待っているのだ。 「どうやら右手に二人、左手に二人、中央に一人だ。ゼロスが中央は任せろって言ってる」 「本当に聞こえるんだな」  呆れた調子で言ったランバートに、レイバンはニッと笑う。 「究極の地獄耳、気に入ってるんだよね」 「下手なこと言えないな、まったく。それじゃ、俺は左に行く」 「俺は右ね。後で」  片手を上げてそれぞれ健闘を祈り分かれる。レイバンは右手の森を突き進み、程なく二人を見つけた。  どうやらこちらに気づいていない。それをいいことに、レイバンは彼らの真上まで木の枝を伝って忍び寄った。 「初戦があいつらって、ちょっとしんどいよな」 「だよな。一人だって相手するのに苦労する」 「だからこそ二人一組だろ? 基本だしな」  そんな事を話している彼らの上で、レイバンはニッと口の端を上げる。そしてふわりと彼らの背後に猫のように着地した。 「レイバン!」  気づいた一人が声を上げるが既に遅い。レイバンは真っ先に蹴りの一撃で一人を飛ばし、まだ驚きから戻ってこない相手にも迫った。 「くっそ!」  寸前になって気を取り戻した相手が応戦の態度を見せるが、既に距離がない。下がろうとした相手の隊服の前を掴むと、そのまま背負い投げた。  ドダンッと音がしそうな衝撃で地面に転がされた相手が短く呻く。レイバンは悠々とその相手からリボンを奪い取り、最初に蹴り飛ばして伸びている奴のリボンも取った。 「案外簡単にいったな。流石に上って盲点なんだね」  腰に手を当て、伸びた二人を端に寄せる。そして彼らが目を覚ますまで、その場にとどまるのだった。
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