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★ゼロス
「二人は無事にリボンを取ったみたいだな」
トレヴァーから前線の様子を聞いたゼロスがまずは安心した。これでこちらの勝ちはほぼ確定だった。
「さて、俺も少し仕事するか」
「正面から戦うのか、ゼロス?」
「当然だろ。騎士たるもの、正面から来る奴を正面から迎えずにどうする」
そう言って腰に手を当て笑ったゼロスは、とても満足そうだった。
やがて相手が見えてきた。体格のいい相手で、ゼロスと並んでも負けない。そして互いの腕には紫のリボンがあった。
「ゼロス、お前とちゃんと組んでみたかったんだ」
「同じ隊なんだからやってるだろ?」
好戦的な態度を示す相手に呆れたように返すゼロスは、戦う姿勢を作る。
距離はジリジリと縮まっているが、まだ組むような状態ではない。だがやがて、じれた相手がその足を進めた。
「!」
強い当たりに腕が痺れる。相手の打撃を腕で防御したゼロスは、すかさず足を出して相手を払った。だがそれは相手に上手くよけられてしまう。軽いステップを踏みながらファイティングポーズを取る相手を、ゼロスは憎らしく見ていた。
「お前、そういうスタイルだったのか」
「あぁ」
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