試験当日

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 一撃当てた余裕だろう。相手は追い詰めるようにゼロスに迫る。  だがゼロスも同じ轍は踏まない。顔を中心に飛んでくる拳を腕で上手く流しつつ、上手く場所を選んだ。追ってくる相手を足場の悪い場所まで誘導して、ようやく反撃の体勢を取る。  伸びてくる相手の腕を内から外へと弾き隙を広げ、甘く入った腕は掴もうとする。腕の一本でも掴めれば投げる事もできる。これはここ数日ランバートやレイバンと乱取りをやって思い知った事だ。あの二人はいとも簡単にゼロスを投げるのだ。  ランバート曰く、「はさみと同じ」と言うことらしい。上手く相手の体を腰に乗せれば体格差のある相手でも投げる事が可能なのだと言う。  だが相手もそう簡単には乗ってくれない。掴みにかかる腕を払いのけてくる。警戒しているのは明らかだ。 「お前、強くなったか?」 「幸いチームメートが良くてな。おかげで、お綺麗な戦闘スタイルなんて忘れた!」  ゼロスはスッとしゃがみ込み、低い回し蹴りで相手の足を払い取る。流石にこれには対応できなかったのか、相手は大きくバランスを崩した。地面に転がり、それでも諦めない相手の腕を捻り上げたゼロスはようやくリボンを奪って息をついた。 「本当に骨が折れる。これを後何試合やればいいんだ?」     
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