一日目終了(ファウスト)

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「何か問題でも起こりましたか、ファウスト様」 「アシュレーか」  のんびりと近づいてきたアシュレーが、ファウストの険しい表情を見て眉をひそめる。だがそれには苦笑して、ファウストは首を横に振った。 「ゼロスのチームは順当に勝ち上がりましたね。確か、ランバートも一緒でしたか」 「ゼロスは第一師団だったな」 「はい、とても優秀な一年目です。おそらく第一師団の一年目ではトップクラスです」 「珍しいね、アシュレーが高評価つけるなんて。厳しいのに」  とても珍しそうな声で言うウェインの言葉には、正直ファウストも同意だった。  アシュレーは絶対に部下を甘やかさない。よくできた事には褒め、できなければ叱りもせずに評価を下げる。自分で察しろというやつだ。そういう男が評価を高くしているのは珍しい。 「純粋な武力というなら、上の中でしょうか。ですがゼロスは目端が利く。自分と隊を正しく見極め、相手の力を推し量る事ができる。だからといって臆病でもなく、むしろ不敵といいますか、挑戦的です。向上心もあるので、育て甲斐があります」 「前の安息日に手合わせをしたが、いい太刀筋だった。少し硬かったが、今日を見ると少し様子も違ったな。柔軟に動けるようになってきていた」     
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